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第101回『宝探し』2005/1/20

春から秋までは、
捕虫網を持って虫を追いかける
子供達の姿を見るが、
アカトンボがいなくなる頃には
そんな子供達の姿も見なくなる。

子供達は、目の前に見えないものに
関心を持てと云っても無理な事で
「冬、虫はどうしているか」ということに、
あまり関心を示す事は無い。

そんな子供達に「冬のむし」に興味を
持ってもらおうと思って童話を書き、
「ふゆのむし」という本を、
福音館書店から出版した事がある。
下は、その中の、ひと見開きの画面である

この絵を描いてくださったのは、
残念ながら既に亡くなられているが、
「三芳悌吉」という画家である。
本業は小説などの「挿絵画家」
として定評のあった方で、
趣味で、昆虫、植物を描かれていました。

物語の原稿を持参直接お願いに伺ったところ、
「冬の雑木林に少年」「冬の枯野にたたずむ少年」・・・
「絵になるなあ」と、引き受けてくださった
暖かな大好きな画風である。
自身他に10点ほど出版しているが
中で最も気に入っている。



物語の筋は、主人公の少年が飼っていた
クワガタムシが秋の終りに逃げだしてしまう。

少年は大事なクワガタムシを探しに、庭先から、
近くの雑木林まで、来る日も来る日も、捜し歩く。

その結果、クワガタにも再会するが、
それ以外の多くの虫達の、
「越冬の姿」を見ることになる。
という話である。

私自身、冬の昆虫採集をよくやりました。
「虫堀り」と云ったり、「宝探し」といって、捕虫網でなく
「根堀り」、時には「スコップ」を持って行くわけです。

荒川の河川敷には、
この絵のような環境があちこちにあり、
マイマイカブリ(カタツムリが主食の甲虫)をはじめ、
多くの虫たちが集団で越冬している
姿を見ることができました。

雑木林の中の倒木、朽木なども、虫たちの
絶好の越冬場所で、高尾山あたりであったが
一抱えもある太い倒木の樹皮下で数千~数万の
テントウムシの越冬集団を見つけたことがある

当時写真をやっていなかったのが
本当に残念でしかたがない。
その後そんな大集団に巡り合っていない。
この冬は、久しぶりに「宝探し」に行ってみようと思う。




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