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第103回『三十三才』2005年1月26日

第98回で四十雀、五十雀を見た。
「三十三才」(ミソサザイ)というのも
いるそうだが、どんな鳥か?
木石氏から問い合わせのメ-ルが入った。

「ミソサザイ」は知っているが、「三十三才」と漢字を
充てることは知らなかったので、びっくり!

私はふだん昆虫、植物、
鳥など全てカタカナ表記なので、
漢字表記は常識的なものしか知らない。
「三十三才」と漢字を見せられれば、
確かに「ミソサザイ」と読める。

その鳥は日本で最小の鳥だそうであるが
身体の割には大きな声でさえずり、賑やからしい



冬の寒い時期だけ、里で生活するので、
生垣の周辺などで見かけるが、とにかく小さく
こげ茶色で、地面近くを、ちょこまかと動き回るので、
目立たず、気にしていなければ見ることはない。

一夫多妻で繁殖期、オスは同時にいくつも巣をつり、
メスを誘うようだ。小さいが甲斐性があって偉い。

「ミソサザイ」の実態はざっとこんなところだが、
「三十三才」の方も調べてみた。
多分、俳句歳時記を調べれば判ると思って
見ましたところ「冬」にありました。

そして多分本来は「鷦鷯」なのでしょう。
こんな漢字も出ていました。
しかしこんな漢字が在ることすら、
今まで知りませんでした。

一文字目は「焦」に「鳥」、
二文字目が「寮」に「鳥」です。
一応漢和辞典で調べてみました。
しかし、
何故この字が充てられているかなどということは
書いてない。そこで字を分解して推理してみる。

「焦」は恋焦がれるとか、
焦げる,あせるという意味がある。
「寮」は人が「大勢住む家」、
全く反対の「小さな家」という意味もある。

この欄を書き始めた時点では、判らなかったが、
こうして図鑑、辞典両方を見て私の解釈は
図鑑に、一夫多妻で、
オスは同時にいくつも巣を造り、
メスを誘うとありました。

メスが巣(寮)に焦がれるから、
オスは巣を造り誘うわけである。
しかしこの習性は「ミソサザイ」に
限った事ではないから弱い。
冬、人里に来て人家(寮)の近くへ
人なつこく来るからか?
よく判らぬが、他に「巧雀」・「女匠」・「功女」の
漢字も充てられているのに驚いた。

これはどうも一夫多妻の、
甲斐性のある「オス」に奉られているようで面白い。

俳句の世界では「みそさざい」・「三十三才」・「鷦鷯」
何れも使われているが、「句」自体は少ない。
いくつかご紹介しておきます。

『干し笊の動いているは三十三才』(高浜虚子)
 『歳月の暗き沼より鷦鷯』 (森 澄雄)
『みそさざい万年青実を抱くかたくなに』(中村汀女)
『三十三才静かなる時落ち着かず』(杉村福郎)
杉村氏は木石氏の友人。




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