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第156回『花の揺り篭の中で』
2005年10月12日

花の名前に関しては今までにも、しばしば
触れたことがあるが、
ここでも改めて例を挙げると
ハキダメギク、ママコノシリヌグイ、
ウナギツカミなど、
あまり美しくない名前、意地悪な名前
ちょとユ-モラスな名前など、いろいろあるが、
下の写真の、「ツリフネソウ」などは
夢があって楽しい。

左が「ツリフネソウ」右が「キツリフネ」。
何故このような形なのかは知る由もないが、
細い柄で花が吊るされているのが
お分かりかと思う。

これを「吊り船」と見立て命名されているようだが
「吊り船」という言葉は辞書に無い。

あるのは「釣り船」で「つりぶね」と発音し、
釣り人を乗せる船の事であることは云うまでもない。

「吊橋」、「吊り天井」など、吊るしてあるものは多く、
言葉も存在するが「船」は
吊るして使用す物ではないから、
当然そんな言葉は辞書にも無いわけである。

しかし、この花は「ツリフネソウ」
と正式に呼ばれている。
舟形をした花器で吊るして使用するものを
「吊り船」と呼ぶ例はあるようだが
実際に「船」が吊るされている姿は
なかなかお目にかかれない。

と、ここまで書いてきて思い出したのが、
「天竜下り」の船である。

写真を撮るために二回行った事がある。

観光客を乗せた船が急流を、
船頭の見事な竿捌きで下る。

何キロ下るかは定かでないが、
2~3キロは下ったであろうか。
下船して今度は後から下ってくる船を
写真に撮ろうと、
岸辺で待っている時に
上空を船が動いているではないか。

ワイヤ-で吊るされた船が索道で
上流へ戻されていたわけである。

考えてみれば、驚く事ではないが
初めて見たのでちょっとびっくした記憶がある。

話は逸れたが、
「花の形」を「船」に見立て付けられた
美しい名前であり、好きな花でもある。

上右の「キツリフネ」は安曇野の穂高温泉の帰り、
烏川渓谷で見つけた、
といっても珍しい花ではない。
しかし、下の写真に収めたショットは珍しい。


「ハサミムシ」の交尾も初めての目撃であるが、
「ツリフネソウ」を褥に秘め事とは、
隅に置けない奴である。
恥ずかしがって花の奥に顔を隠しているのはさて、
メスであろうか、オスであろうか?



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