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第162回『洒落たプレゼント』
2005年12月07日

先月12日に終った個展会場のご主人が、
最終日に、これを記念に差し上げたいがと云って
写真のコ-ヒ-カップを私の目の前に差出し、
ちょっと、いたずらっぽい目で笑っていた。



「このカップの用途はお分かりになりますよね」と
聞かれ一瞬考えてしまったが、改めて彼の顔を見て
答えが判った。彼も鼻の下にヒゲを蓄えている。
さあ皆様もお解かりであろう。

「ヒゲ」がコ-ヒ-やミルクで汚れないように、
或いは逆に「ヒゲ」でコ-ヒ-が汚れないように。
どちらも正解であろう。それにしても、
なんと気の効いたプレゼントであろう。
彼が自分用に洒落で造らせたものと聞いた。

それ以来我が家での「コ-ヒ-」は、
このカップが登場することになり、愛用しているが、
もともと「コ-ヒ」はサラッとした液体であるから
ヒゲに触れても、さして気にもならないものである。

ポタ-ジュス-プのようなものだと、
ヒゲに付くのは好ましくないから、
この「ヒゲ避け」は役立ちそうだ。
しかし、ス-プなどには、
カップ自体が少し小ぶりで適さない。

まあ、実用面はともかく、ウイットに富んだ
プレゼントで大変でよろこんでいる。

同じようにヒゲの友人が来たので早速出して、
用途を考えてもらったが意外に正解が出ない
かなり洒落、冗談の好きな仁であるし、
ヒゲも蓄えているので直ぐ判るものと思ったが降参。

正解を告げると、「オレは、ヒゲなど、なんぼ汚れても
気にもしないから判らないんだ」とすましていた。

改まった贈答品などを選ぶのは
苦痛以外の何ものでもないが、
洒落たプレゼントを探すのは楽しいし
贈られる方も嬉しいものである。

初孫が生まれた知人に山形の酒「初孫」を
お祝いに持って行き、大いに喜ばれたことがある、
逆に、ラベルに私の名前が大きく一文字「醇」と
入っているお酒を頂いたことがあるが、これも嬉しい。

酔うとやたらプレゼントしたがる友人がいて、
ある時「xxさん」には、これがいいな、
といいながら「パンスト」を気前よく半ダ-ス。
「xxさん」にどうしてパンストなのか、
判らずにいると「彼女いつも裸足」だからと
すましていた。
「裸足だから靴下じゃ-洒落にもなってイネーじゃ・・・」
と思った瞬間、彼女の顔を思い浮かべ
彼の駄洒落の意味に気が付き笑ってしまったが、
多少でも傷つくような冗談は
許される相手でなければならない。

これは昔、
私が尿管結石で緊急入院した時のことである。
数日後、仲間達が揃って見舞いに来てくれた
見舞品はなんと、「位牌」。

黒い紙を、形に切り抜き、金文字で
「雀鬼院・・・・・・・大痛士」、
ご丁寧に裏にも
「白頭院陰穂・・・・・」

痛いことは強烈に痛い病気であるが生命に
心配はない病気であるから笑っていられるし
普段がそのような付き合いだからこその見舞いである。
冗談の通じる仲では「ブラック」まで許されてしまう。
位牌は大切に保存してあるが、
位牌を贈ってくれた主犯は既に鬼籍に入ってしまった。
残念である。



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