(戻る)

第170回『フウセンムシ』
2006年1月31日

前回、ジョウビタキでは母を思い出す
ということを記したが、父は明治生まれの男であるから
こどもと遊んだり、面倒を見るようなことは殆どしなかった。
であるから当然遊んでもらった記憶はない
例外的に一つだけ、
この「フウセンムシ」の遊びをみせてくれ事であった。



夜、電灯に飛んできた「フウセンムシ」を捕え、
父自身子供の時に遊んだ記憶が蘇り
見せてくれたのだと思う。

コップに水を入れフウセンムシを水に放ち、
赤い紙を小さく刻んだものを2~3入れる
やがて赤い紙は水を吸ってコップの底に沈む。

フウセンムシは池などでは水草など
掴まるものが、いくらでも有るが、
コップの中には無いので
水底で小さな紙でも掴まろうとするが、
翅の下に空気を蓄えているので
その浮力で一緒に水面まで浮いてしまう。

水面まで来ると何故か放す。と紙は沈んでいく、
又フウセンムシも潜って掴まるが又浮いてくる。

この繰り返しが、子供にとっては面白いので
長いこと見ていた記憶が鮮明にある。
おそらく3~4歳の頃であるから70年も前のことである。

初めて名前を知った昆虫がこの「フウセンムシ」である。
そして、こんな事がきっかけで
他の虫たちにも興味を持つようになり、
のめりこみ、そのまま、今に至っているのかもしれない。

因みに「フウセンムシ」は俗称で
正式には「ミズムシ」「コミズムシ」などを指す。



(戻る)







































(EOF)