(戻る)

第220回「金沢」
2007年2月14日

北野さんから一月のうちに金沢行きの
お誘いを頂き楽しみにしていた。

一昨日12日朝、車で迎えに寄って下さり、長野より高速へ乗る。
全く雪のない信越国境、昨年は四月中旬でさえ
まだ多くの雪が残っていた田んぼなど
雪のかけらもなし、今日も降り始めたのは雨、全く異常。
今回の金沢の主目的は今夜の
「懐石料理」であるから他はすべて省く。

テ−ブルに着くと銘々の盆に九谷焼の大きな雉が鎮座。器で、こけおどしは、どこの料亭などでも当たり前の戦略である。頼んだお酒と一緒に、もう一羽の雉がやってきた。これは色彩から明らかにオスの雉。メスの雉のところへオスの雉がやってきた訳だと話していると仲居さんは、お客様のおっしゃるとおりです、と一言。
器のお遊びはここまで。後は地味すぎるほど器は凝らず、写真を撮っていなければ記憶に残らぬほど地味であった。
しかし、お味は、さすが、北野父子推薦のお店、結論が先になるがすべて、品の良い味付け、盛り付け、中井さんの口数の少なさ、そしてきびきびした立ち居サ−ビス、何れをとっても気持ちが良いものであった。味に関して、どのように美味しかったか人に伝える事は、並みの文章力では無理であるから、それも省くしかないが、一品だけちょっと記します。
最初に箸をつけた、アンキモと、おそらくアンコウの白身とあわせ、柔らかく団子状にし、まわりに細ネギを薬味のようにあしらって蒸したのではないかと思われる料理(写真3番目)はアンキモという結構個性の強い、もっと言えば決して品の好い味とはいえない素材をここまで品良く仕上げた料理にはあまりお目にかからない。おそらく、アンキモと白身の量的なバランス、薬味的なネギ、敷かれている柚子一切れなど、その他細かい心遣いから生まれる繊細な味だと思う。
この一品で完全に脱帽。普段お酒をいただく時殆どおつまみなどに手がつかず終ってみれば、お酒だけということが多い。肝臓が小さく、お酒と、同時にご馳走を頂くと肝臓がフル回転しても分解処理できずにいることが自分で判るのでどちらかを止めざるを得ず、結局食べる方をやめて、お酒に専念する結果になってしまう。
ところが今回は、知らず知らずのうちにすべてに箸をつけ、すべて残さず綺麗に頂いてしまった。
最後の、さばの棒寿司はさすがに入りそうもないので持ち帰りたいと、仲居さんに告げると綺麗なパッケ−ジに入れ持たせてくれた。
写真に登場していない煮物、蟹、吸い物、デザ−トすべて腹に入れ、とりあえずホテルへ帰ったのは九時であった。一休みして、金沢の夜の街へも一度繰り出したかったが、眠ってしまい春雷に目を覚まさせられたのが2時半、この時間では残念ではあるが、仕方なく眠りを継続すことにした。
七時半にはすっきりと目覚め八時半に出発軽い朝食の後港近くの生鮮食品市場を覗き一巡りしてさて何を買うか、今夜は北野さんにお寄り頂き宴の続きをすることになっている。名前が気になっていた「ガスエビ」は北野さんが買われた。
その地方ならではのものが、さまざま有り、のり、トビウオの煮干、大きな塩さば、いろいろ買い込む。我が家での宴も省略。
美味いものを頂くことが目的の金沢行であったし、天気も降ったり止んだりではあったが概ね悪く更に雪も全くなし。写真はあまり撮れず。そこで一句
「雪吊りや閑もてあます兼六園」 結石
(本年正月より木石に弟子入り閑虫改め結石)
大根寿司をお送りした師匠木石さんからは
「老いてなほ大根寿司の歯切れかな」木石
パリパリと音が聞こえてきそうな新鮮な句が送られてきました。
北野さん有難うございました。




(戻る)











(EOF)