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第227回「寒かった南の島−U(変身の妙)」
2007年4月25日

一年を通じて花が咲き、蝶が舞う南の島であるが季節を変えて訪れ子細に観ていると、それぞれの花や蝶、その他の昆虫達にも季節による消長があるのがはっきり判る。
四月は初めてで、イシガキチョウが非常に多く、さまざまな花を舞台に個性的な柄の翅を広げ眼を楽しませてくれた。写真はモンパと云う植物の花上の姿である。和名のイシガキチョウは翅の柄を石垣に見立てたもので、英名は「コモンマップ」。地図に見立てたわけである。我が友、木石氏は、「ビアズレ−の絵を見るようだ」と、19世紀末の天才画家の作品を連想したようだ。発生のピ−クは個体数が多く写真も撮りやすく良い画像が得られありがたい。
西表の最初の民宿の玄関先の植え込みにイヌビワがあり、若葉が喰われているので、もしや幼虫がいるのではと、眼をこらして見たが見つからなかったが翌日もう一度も見たら待望の幼虫を発見、カメラに収める。
それが左の奇怪な形をした幼虫である。頭には水牛の角を思わせる立派な角、そして背中、尾端にも恐ろしげに反り返った角を有し他を威嚇している。
図鑑で見たことはあるが実物は初めてなので大いに興奮、感動、大きさから間もなくさなぎになるであろうと推定、容器に収め持ち歩くことにした。
翌日西表の東部の古見集落の民宿へ移動した時に幼虫は容器の蓋にぶら下がりサナギになる体勢になり翌日には蛹になっていた。
左の写真がそのサナギである。
サナギに関して木石氏は「土器」のようと表現し、「ビアズレ−の絵」を見るような「蝶」とのギャップが面白いと感想を述べられた。
幼虫、サナギ、成虫の形態、色彩を改めてご覧下さい。思いもよらぬ変化に驚きます、決して成虫の姿から幼虫やサナギの姿を想像することはできません。
さまざまな蝶や蛾の変身ぶりを見てきましたが、イシガキチョウの変身振りには格別感動している。サナギは信州で無事羽化、今日現在健在である。




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