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第228回「寒かった南の島-V(出会い-1)」
2007年4月28日

八重山の旅の主目的は本業である昆虫の生態写真を撮ることにあるが、もう一つの大きな楽しみは「出会い」である。
今までにも多くの人と出会い旅から帰った後もお付き合いが続いている人も多くいる。
今回は知り合いに連れられ、元は都会の人だが既にジャングル(私有地)生活を三年も続けているカップルを訊ねた。
知り合いの家から車で30分ほどの処で車を降り、僅かに見られる踏み跡程度の道を10分ほど分け入った処に住居があった。(左上))
手前の三角屋根は最初建てたものであるが、去年の台風にやられ、今は一番奥に新しく建てた住居に住んでいるということであった。
あまり太くはないが丸太の柱が大黒柱である。屋根は竹の枝を払ったもので葺いてあった。一番上に明り取りがありビニ−ルで覆ってある。棚が作られ竹細工の材料、完成品などが上がっていた。(左中)カップルは突然の訪問にも拘らず喜んでくれ2時間ほどもおしゃべりをした。二人とも非常に穏やかな人柄で特別の気負いはなく、至極自然に静かな生活を楽しんでいるように見受けられた。
小さな粒の「桑の実」を馳走になったが野趣に富んだ美味しいものであった。
彼は三十台前半と思われるが、少年のような澄みきった瞳を持ち、その眼は常に遠くを見つめているように見受けられた。
短い時間であったが、憲法の事を含め最近の政治の話、教育のことなど、憂うべきことばかり、辛い話題が中心になってしまったが最後まで穏やかな口調であった。
彼らにはこの十月新しい生命が授かるという事だ。ここでのお産のこと、出生届けなど法的な事、不安もあるようではあったが、このことに関しても特別の気負いは見られなかった。彼ら流に静かに乗り越えることでであろう。 無事に生まれますように。
(左下)静かに語る二人。

尚、お二人の生活に支障が無いよう、
場所、お名前は伏せました。




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