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第236回「こだわりの産卵」
2007/06/01

「カメムシの仲間」は臭いことで有名で
誰でも2〜3種は見たことがある、
或いは、うっかり触ってしまい嫌なにおいが手に残って
悩まされた経験があるでしょう。

であるから、嫌われ者でる。
そして多くは草木や、果実の汁を吸って生きているので
農作物にも被害をあたえる。この点でも大いに嫌われている。
しかし、生態はなかなか興味深いものがある。
特に卵の産み付け方が面白い。
写真の「ナガメ」という種は菜の花畑に行けば普通に見られる種であるが一般の方々には見えないかもしれない。黄色と緑の環境の中に写真のような赤と黒の7~8ミリの虫であるから目立ちそうであるが、意外に目立たず、少し眼が慣れないと見えてこない。受精後メスは菜の花の葉裏、茎、菜種の鞘などに卵を産み付けるが、なかなか見つからない。
最近飼育をして観察を始めた。あまり期待はしていなかったが、メスを3・4匹入れておいたらあちこち産卵してくれた。
写真のように几帳面に二列に12個の卵を産む。殆ど例外はなく、一卵塊12個である。
残念ながらどのような順序で産み付けているのか未だ目撃できずにいる。引き続き観察をしているところである。
はるか昔、4個ずつ4列、菱形に産んである卵を見たことがあるが、クサギカメムシであったか、アオクサカメムシであったか記憶は明確でない。
キハラヘリカメムシはニシキギの葉裏の縁に沿って一個ずつ産む。
近縁のサシガメのある種は、やや細長い卵で、薪を積み重ねるように産む。
昆虫館時代もカメムシはあまり飼っていなかったので僅かな種しか知らない。
まことに不思議な習性である。数をどのように認識しているのか、形に何故拘るのか、他の昆虫には見られない習性である。他にどのような産み方をする種がるのか、今年は手当たり次第飼育してみようと思っていたところ、早速交尾中の「ハラビロカカメムシ」を見つけたので飼育を始めた。
とまっていた小枝ごと採って来て枝をビンに刺し容器に入れた。翌日、正確な種名を図鑑で確認、マメ科のハギやクズの汁を吸っていることが判ったのでハギを採って来て差し替え最初入れておいた小枝(ヤマブキ)を捨てようと思ったがその前に一応葉裏を調べたら、左の写真にあるような「卵」を発見。
ル−ペで覗くと、やや細長いラグビボ−ル型の真珠のような色をした卵が7個、「ナガメ」ほど几帳面ではないが、並べて産み付けてあった。ここまで記してちょっとナガメの卵を見ると幼虫が生まれ始めていた。急遽撮影、ごらん頂くことにした。(下)



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