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第258回『障子張り』
2007/11/21

何十年振りかで障子張りを頑張ってみようと思い立ち、
障子紙など材料を買いに行ってびっくり。
まず、紙は殆どが標準サイズの障子一枚分の幅(90センチ)で
二本分長さの紙を巻いたもので、
ご親切に糊が付いている、
もっと驚きは、アイロンの熱で接着するもの、剥がす時はドライヤ−で
温めながら剥がせば糊が残らずきれいに剥がせるという優れものである。

買いに行く前までは、小麦粉で糊を作って、
糊刷毛で障子の桟に糊をつけてなどと頭の中で
昔の親父を手伝った経験を思い出し、
作業の手順のシュミレ-ションをしていた。
それだけに本当にびっくり。

さっそく小春日を選んで、ベランダで、茶色く、くすみ、
所々破れた障子を剥がし、濡れ雑巾で湿らせ
桟をきれいににして、乾かし部屋に持ち込み、
「アイロン障子張り」を始めた。

紙が大きく、皺が寄らぬように張るのは、
なかなかむずかしいものだが、失敗したらアイロンを当てながら
剥がしていけばきれいに剥げるので、失敗を恐れず、
失敗を繰り返しながらも、どうにか張れた。
我が家は、昔の家の作りと違う団地なので、
障子の数は少なく僅か3本のみで、楽勝であったが
床に這いつくばっての作業がこたえ、
翌日、臀筋が痛く、つくずく齢を実感。



昔は障子紙は幅30センチほどの巻紙であった。
殆どの障子の桟の二段分の幅にぴったりのサイズであったと
記憶している。桟をきれいに洗った障子を逆さに立てかけ、
上から二段ずつ張ってきたものである。
言い換えれば、紙を下からはることになり、
紙の重なりが下から上となるので、紙の継ぎ目が下向きになり
継ぎ目に埃がたまらないための知恵であった。

その点一枚ものの紙ならばその心配はないが、
皺の寄らぬように張るのは難しく多少の経験が必要。
いずれにしても、障子を平らにおいてアイロンで張る
などという発想は思いも寄らぬことであった。

この手の家庭内の作業は意外に、まめにやる方で、
簡単に諦めプロに依頼するようなことはめったにない。
失敗もあり、プロほどの出来栄えではないことは判っているが、
つい自分でやってみたくなる。

特に最近は、障子張りに限らず、大工仕事でも、
道具や材料が進化しているので昔より簡単に
出来るようになってきているから、
難しさや、面倒くささより、楽しさのほうが大きい。

さて、これで一年後か、二年後の障子張りが楽しみである。
ドライヤ−で首尾よくきれいに剥がれるものか。



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