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第275回『鯛』
2008/05/31

数日前、大変見事な鯛をまるごと一尾頂いた。

冬の猟期に鹿や、雉を送ってくださる友人の
小野さんからの贈り物であるが、この鯛は
小野さんのご子息が釣ったもの。
ご子息は鉄砲の猟ではなく釣の名人らしい。

子どもの時から釣が好きで、
よく釣をしていたという話は聞いていた。
まだご本人にお目にかかったことがないが、
先ず、お礼を申し上げます。

皆さんにはとにかくご覧頂きましょう。
体長は丁度50センチ、目方も丁度2kgありました。



こんな大きな、見事な鯛を捌くのは初めて。
ちょっと緊張しました。
身体に相応しい大きな鱗はしっかりと皮膚に食い込んでいて、
鱗をひくのも大変な作業、
しかし新潟の海で釣れた新鮮な鯛、
捌いていても気持ちがよいほどしっかりとしている。
鱗をひいて、胸鰭の際から出刃包丁を入れ頭を落とし、
腹を開き、内臓を抜く。

メスであった。大きな卵がひと腹、これも旨そう。
おもわず涎をたらしてしまった。
背骨に添って包丁を入れ、背は背、腹は腹と刺身用におろす。
裏側も同じ要領で刺身用におろす。
中落ちを適宜の大きさに切り分ける。
頭の方はまず、鰓を取り除く。
ここまでで、小一時間の大格闘であった。

粗は早速、ひね生姜、酒、醤油、水、味醂少々で煮る。
刺身は食事の直前にこしらえることにして、
四枚におろしたままで冷蔵庫へ。

数時間後、炊き立ての白い飯に、
鯛の刺身と粗煮だけ、他のものは排除。
しっかりと「鯛」を味わいました。
日常的に酒を飲まなくなったので、いきなり白い飯ですが
慣れてしまったせいか、それも結構良いもの。
ほんとうに美味しかったですよ!

正真正銘の天然もの、しかも、網でなく
釣った魚は、他とは比較にならぬ旨さでした。
明日もまだまだ、楽しみが残っています。

小野さん有難うございました。
五月は「鯉幟」の月でしたが、
締めくくりは「鯛」の刺身でした。



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