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第276回『は-るかぶり』
2008/06/04

「えれえ、は-るかぶりだの」或いは女性などは
「おはるかぶりだね」という挨拶が信州にはある。

疎開してきた頃は小学校五年生であったから、
可笑しな挨拶だなあと密かに笑っていたが
大人になってからは、なかなか情感の篭った良い方言
だと思っている、しかし今はあまり聞くことがない。

数日前、その「は-るかぶり」の友人、
三人と再会した。その挨拶ではなかったが、
ほんとうに「は-るかぶり」の感動的な対面であった。

一人を除いて、30歳〜40歳のころ、
毎年「芸術教育研究所」主催の研修会の講師として
参加していた仲間である。

現在は一番先輩の深町先生80歳、
一番お若い松岡先生が70歳、小生が74歳である。

深町先生と松岡先生は、その後もずっと交流はされていらしたが、
小生は本業の写真の仕事に専心するために、
研修会の仕事から離れてしまっていたので
ご無沙汰になっていた。

今回は、深町戦先生の主催される
「やまなみ芸術教育の会」(信州)と
「芸術教育研究所」(東京)の
合同研修会が上田の公民館で開かれ、
深町先生からお誘いがあって再会が実現したわけである。

もうお一人「芸術教育研究所」の所長多田千尋さん。
(お父上が当時の芸研の所長)
当時彼は小学校2〜3年生と記憶しているが、
やはり35〜6年ぶりということになる。

であるから、初めてお会いする
と言ったほうがよいのかもしれないが

彼は「不思議なおじさん」という印象で、
記憶はしております、と云ってくださった。
二泊三日のあいだ、思い出や、その後のお互いのことなど、
とめどなくおしゃべりをした。
40年と言う長い間の事はそう簡単に話しきれることではなく、
やや、不完全燃焼ではったが
とにかく楽しい三日間を過ごす事が出来たし、
新たな場での写真展の依頼などもあり
更に若返った気分になっている。



左から松岡氏、深町氏、
ハンチング帽の方は初対面の稲垣先生。そして白髪頭が小生。

三氏ともに民話、昔話の研究者であり、優れた語り部でもある。
深町先生は同時に児童の美術教育のリ-ダ-として
中心的な存在でもある。

最後の日に塩田平の民話「小泉小太郎」の舞台になっている
「とっこさん」のふもとを案内して頂き
「産川」のほとりで民話に関していろいろと
お話をうかがっているところである。

40年振りの再会、そして新しい出会い、
充実した三日間であったが、小生には更に
「は-るかぶり」の再会が二日目にあった。
それは私だけの小さな「友」である。それが,下の写真。



何の変哲もないシジミチョウと思われるかもしれないが、
少し大型でその名は「オオルリシジミ」

この日午前中の自然観察の先生と、たまたま、
オオルリシジミは全く目撃することがなくなりましたねと
話をしていた2時間後くらいに出合ったものです。
実に57年ぶりになります。

もともと、局地的な分布で個体数も少ないチョウで、
しかも年一回の発生で出現時期もかぎられ、
出会うことは少ない種類ではあるが、
60年以上も野山を歩いていて、たったの二回目である。

初めて出会った時は、カメラも持てない高校時代であったから、
今回、初めてカメラに収めたわけである。
翅の周辺が傷みちょっと残念ではあるが、
記念的なショットである。

オオルリシジミ君「えれえは-るかぶりだったの」



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