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第290回『カメラ散歩・昆虫の世界(1)』
2008/11/28

まほろば美術展に出品をしたことがご縁で、
「信州の教育と自治研究所」発行の
「まほろばニュ−ス」(毎月発行)に
「カメラ散歩・昆虫の世界」というタイトルで
連載することになった。

皆さんにお送りすることも考えたが、
「ちょっと一服」に採録してご覧頂くことにした。

一つには「まほろばニュ−ス」が一色刷りなので
折角の写真がモノクロであること
そして、スペ−スの関係で画像が小さいので
ここに採録してカラ−で観て頂こうという次第。

誌面では文字は縦二段組みだがここでは横組みになる。
画像も誌面より大きくご覧頂けます。
(画像の大きさなどの都合で
レイアウトは多少誌面と変ります。)


カメラ散歩・昆虫の世界(第1回)初冬の昆虫

11月もなかば過ぎるとさすがに冷え込んできて、
虫の音も聞こえず、蝶やトンボも、
いつの間にか姿を消してしまい自然界はひっそりとしてしまう。
しかし、時には日中暖かく汗ばむような日もある。

そんな日には、咲き残っている、野菊や、
この季節の花であるヤツデ、サザンカ、
ビワの花などに、動きは鈍いが
蝶、蜂、アブなどが訪れ吸蜜に余念がない。

変温動物である昆虫は気温が上がれば
体温も上昇、15℃前後になれば活動を始める。
といっても活動をするのは
成虫で越冬するものたちだけである。

寒さが戻り10℃を切る頃には活動は殆どできなくなる。
全く動けなくなる前に、
彼らはできるだけ温度変化が少なく、
外気に直接曝されないような処へ避難する、
例えば枯れ草の生い茂った叢や、
落ち葉の重なり合うやぶの中、
大木の根際に逃げ込み、寒い冬を耐えて、生き残りを図る。

「写真・左下」の野菊の蜜を吸っている
スジボソヤマキチョウは標高500Mくらいの里山から
2000米くらいの高い山までを生活領域にしている。
特別珍しい種ではなく、
黄色一色の変哲のない蝶であるから
格別に蝶への関心がなければ、しかと確かめはしないから、
改めて写真でアップを見せられると、
「どこか外国のちょうですか?」
などと訊ねられることがある。

「写真・右下」は庭木、ヤツデの花の
蜜を吸うコガタスズメバチ。
活動できる、ぎりぎりまでこうして蜜を吸い、
間もなく朽木の中、崖の干割れた隙間などの
奥まで潜って翌春まで寒さに耐える。

無事越冬できたハチは、巣作りを始め、
各部屋に卵を一つずつ産み、孵化した幼虫に餌を与え、
働き蜂を育てる。働き蜂が一人前になると巣作り、
幼虫の世話を始め、家族の勢力は拡大してゆく。

ハチは成虫になると自身は密を栄養源としているが、
幼虫には青虫や、他の小昆虫を捕らえ
肉を咀嚼し肉団子にして与えて育てる。
殆どの青虫、イモムシ類は作物などの大敵であるから
アシナガバチやスズメバチなどいずれも、
農家や、菜園を作っている人々にとって
大いに貢献してくれているわけで、貴重な存在である。


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