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第291回(まほろばニュ−スより)
2008/12/14

カメラ散歩 昆虫の世界(第2回)

長野地方は例年よりやや早い初雪が
11月20頃ちらつき、冷え込んできました。
おおかたの昆虫は越冬態勢に入り
我々の目に殆ど見られなくなりました。
ご存知のように殆どの昆虫は、
卵、幼虫、サナギ、成虫の四つのステージがあり、
そのいずれかのステ−ジで越冬するわけです。

例えば断熱材のような物質で保護された
カマキリの卵はおなじみですね。

よく知られているオオムラサキの幼虫は
食樹であるエノキの葉が落ちる前に幹を下って
根元の落ち葉の下に潜ります。
最もなじみのある、
モンシロチョウ、アゲハ、キアゲハなどは、
いずれもサナギで越冬します。

成虫で越冬するものは、人家の軒下、
戸袋の中、天井などにも多く見られます。
テントウムシ、カメムシなどがいるのに
気付かれている人も多いと思います。

野外では、枯葉の下、崖の土の割れ目、朽木の中、
倒木の皮の下など、さまざまなところに潜り込んで
寒さに耐えています。
写真で一例を挙げてご覧頂きましょう。

前回、ヤツデの花の蜜を吸っていたスズメバチは、
左下の写真のように朽木に自ら穴を穿ち奥深く潜っています。
おそらくマイナス2〜3まで下りますから、
全く動くこともありません。

殆どの昆虫は冬の間、冬眠状態にあるわけですが、
中には寒さに適応し、冬に活動する種もあります。

右下がその蛾の一種です。
フユシャクというグル−プです。
日本には30種前後知られています。

メスは低温に耐え得るようにできるだけ体表面積を
小さくしてきました。つまり翅が退化しました。
実験的にも翅がない方がはるかに低温に強いことが証明されています。

写真は翅のあるオスと翅を持たぬメスが
交尾をしている状態です。
オスの翅の下から右上の方向に身体をのぞかせているのがメスです。

専門分野が違えば昆虫学者でも
見る機会がないし知ることもありません。
オスを冬の雑木林で見ることは難しいことではありませんが
メスを見つけるのは至難の業です。



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