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第296回『手仕事を楽しむ』
2009/01/21

手仕事が好きである。
何かこまごまとしたものを自分で作るのは楽しい。
戦時中疎開してきた当時(1944年)
学校の上履きすら買えない,物のない時代であったから
工作の時間に藁ぞうりを銘々が作る。
授業の中で一番楽しい時間だった。

信じられないかもしれないが、
亀の子だわしさえ売っていない時代で
母が洗い物をするのに困っていると聞き、
藁で細い紐を綯い、丸めて絡げて
たわしを作ってあげて喜ばれた記憶がある。

たわしなどは考えるうちに入らぬが、
作るだけでなくそこに考えることが必要だと更に楽しい。
そのようなことが今でも好きで
何でも自分で作ってみたくなる。

しかし最近では何でも安価で売っていて、
物によっては作るより買うほうが安く体裁もよくできていて
作ることは少なくなったが、
それでも作りたくて、描きためた絵を使って
オリジナルTシャツや、コ−スタ−、
布製のブックカバ−などなど作っている。

去年個展の折に作品を額装するのに、
額縁店でマット紙を切ってもらってあまりに高いので
自分でマット紙を切ることはできないかと、
ネットで調べてみたところ
「マットカッタ−」と称する商品があることが判り早速発注した。

上がそのマットカッタ−なるもので、
真ん中にある刃が45度になっていて
定規に溝がありカッタ−本体をその溝にかませ
少し力を入れて何度か往復させれば切れるわけである。
マット紙の裏に任意の寸法の罫を引き
定規は各辺の外側に当て内側から切る。


カッタ−は4000円弱と安価である。
これさえあればマット紙だけの価格であるからかなり安くできる。

参考までに、額縁店に依頼するとB4サイズくらいのマット紙に
指定寸法の穴を開けてもらうだけで
紙代ともで700〜800円もするから、
個展などで多くの枚数になると大変な出費になる。

しかし、道具は使い方もあり、
器用さに欠ける人は巧く使いこなせず
使用を諦めてしまう人も多いと聞く

私が特別器用と云うわけではないが、
去年の個展では大きなマット紙をレイアウトして
3枚〜8枚くらいの組み写真の展示に大いに役立った。
全体では80点くらいの写真を展示したので
その数のマットを切ったことになる。
経費が大きく節約できたと同時に
マットを切ることもすっかり熟達した。

切り抜かれたマット紙も
一段小さな写真のマット紙として使え一石二鳥である。



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