第55回「わらじ」2004年7月30日
7月も末、高原の夏の花が終わってしまわぬうちに、 40有余年通いなれた入笠山へ行こうと 篠ノ井線に乗った。 通路を挟んで反対側の席に、僧侶が座っていて 気持ち良さそうに舟をこいでいた。 ふと足下に目をやると、 素足に真新しい「わらじ」を履いている。 「わらじ」、「わらぞうり」そのものは民芸品店、 お土産屋などで目にすることはあるが 写真のように、しっかりと履きこなしているのを 見るのは本当に久しぶりだ。 しかも素足である。 懐かしさもあるが、おおげさでなく、感動し、 居眠りをよいことに、しっかりとカメラに収めてしまった。 改めてこうしてみると、「わらじ」という履物は (形の良い足も含めて)非常に造形的に 美しいと思った。 そして、足がしっかりと大地を踏みしめていて 力強さが感じられる。 昭和19年、私が5年生の時に疎開して来て、 敗戦後の昭和22~3年頃まではあらゆる 物資がない時代で、当然革靴、運動靴なども無く、 すべて自分で作らなければならなかった。 従って学校の工作の時間は殆ど 「わらじ」や「わらぞうり」を作っていたので、 今でも作り方は覚えている 「わらじ」は「ぞうり」より、ちょっと複雑だが 作り始めれば、細かい部分も思い出す 自信はある。 当時、通学や、学校の上履きは、「わらぞうり」で、 山へ薪を切り出しにいったりするのは 「わらじ」であった。 履き心地は、下駄や靴に比べまったく軽い、 「わらじ」は踵の方もしっかり結わえつけるように なっているので更に軽く歩きやすい。 冬の雪深い道以外は理想的な履物である。 「わらじ」の難を云えば、足指が前に出てしまうので、 石などにつま先をぶつけやすい点だ、 これはかなり痛い思いをする。 しかし、つま先を上げるようにして、 大地を踏みしめるように、 つまり正しい歩き方をすればぶつける事も無い。 約10年前、こちらへ戻ってきて3年くらいは、 家の中でスリッパの替わりに 「わらぞうり」を履いていたが なかなか良い草履を売っていないので 最近は使用していない。 これを機会に、今年は、田んぼを作っている 友人から秋に藁を分けてもらって 思い出しながら「わらぞうり」作りに 挑戦してみようと思う。その結果は又必ず、 ここで報告しましよう。 |
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