(戻る)

第60回「地下鉄ホームのトンボ」2004年8月13日


8月5日朝、東京からの帰り、
未だアルコ-ルが抜けきらない老躯に鞭打って、
地下鉄丸の内線に乗り東京駅で下車、
ホ-ムの雑踏で、
運良く踏まれずにいるヤンマを発見する。

急いでしゃがみこんで、トンボをガ-ドするようにして、
常に首に提げているカメラで3枚シャッタ-をきる。

撮り終わって、弱っているのかと、ちょっと触れると、
意外にも、さっと飛び去ってしまった。

田舎の電車では、いろいろな虫が飛び込んできて、
無賃乗車をきめこんでいるのをよく見かけるが
地下数十メ-トルの東京の地下鉄で虫を見るのは
初めてのこと、しかも、どこにでもたくさんいる
シオカラトンボやアカトンボの類ではない、
ウチワヤンマである。かなりの珍品である。

宿酔いのぼんやりした頭で、どうしてこんな所に
ウチワヤンマが紛れ込んだのか考えてみた。
 夏休みでもあり、子供が捕らえたのを
持って乗り込み、うっかり放してしまった・・・・・
可能性は大いにあるが、これは、つまらない。

丸の内線の両始発駅は、荻窪と池袋である。
この両駅からの乗車は考えにくい。特に池袋は。

他の駅も同じで、トンボの習性から、自ら明るい野外から
暗い地下へ向かって降りて行くとは思えない。

とすれば、丸の内線が地上に出る
「四谷駅」か「茗荷谷駅」
から「乗車」の可能性が考えられる。
そして、どちらかといえば、神宮外苑や、新宿御苑、
市ヶ谷のお堀などに近い四谷駅の可能性が一番か。

新幹線の中で、こんな愚にもつかぬ推理を、楽しんだが、
飛び去ってしまったウチワヤンマは
おそらく、明るい地上へ出る事はできず、
地下鉄構内を彷徨っているに違いないと思ったとたん

しっかり捕らえて、地上へ連れて行ってやるべき
であったと後悔してみたが後の祭りであった。



(戻る)







































(EOF)