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第69回「キノコの季節」2004年9月15日

信州のような山国では秋になれば
「キノコ狩り」を楽しみ、キノコの味を楽しむ。

さまざまなキノコの入ったキノコ汁、
煮込みうどん、おろし合え、非常に美味である。

ところが、厄介なのは
キノコには猛毒があるものが、
けっこうあって、しかも食べられるキノコと
よく似ているものがあるから、
ベテランでも間違える事があるようだ。

だから毎年のように「キノコ中毒」
の事故がしばしば報じられる。

近年はキノコの栽培も盛んで一年を通じて
ス-パ-で売っているが、種類は少ないし
天然のものには、味、香りなど
全ての点で及びもつかない。

美味いものに目が無いから、キノコ狩りに
2~3回は行くが、キノコに詳しくない、
自信を持ってこれはOKと云えるのは
せいぜい5~6種しかない。
ちょっとでも首をかしげるようなのは
持ち帰らず捨ててしまうようにしている。
キノコ中毒でまだ死にたくはない。

数年前、姉の家の庭先に、
白いキノコが続々生えてきては、
1日で黒く、とろけるように消えていくと聴き
見に行ったら
下の写真のキノコであった。
如何にも毒々しく、気味が悪い



早速、キノコに詳しい友人に電話で聴いてみた。

それは「スミゾメヒトヨタケ」である。食べられるが、
お酒と相性がよくないと、教えてくれた。

かりに、お酒と相性が良いと云われても、
ちょっと食べる勇気はおきないなあ、

それにしても「スミゾメヒトヨタケ」とは、
なんと文学的な名前なんだろうと感心していたら、
さっきの友人から
名前を間違えていました、
「ササクレヒトヨタケ」でした。
訂正の電話である。
そう云われてみれば、笠がささくれていて、
「ササクレヒトヨタケ」である。

しかし、最初に聞いてしまった
「スミゾメヒトヨタケ」、
この名前が私としては未だに捨てきれずいる。

このキノコは秋でなく6、7月頃見られる。
翌年も姉の家の庭先に続々発生した。

傘の開く前は写真の右隅に見られるように、
マッシュル-ムなような色で美味そうに見えたので、
思い切って「少量ならば大丈夫」
と自分に言い聞かせて、
バタ-で炒めて試食してみた。

想像をはるかに超える美味いキノコであったが、
大量に食べる勇気は起きなかった。
アルコ-ルと相性が良くないというのも
飲兵衛にとっては魅力半減である。
いずれにしても、笠が開き始めてからは
一夜にして墨汁のように黒くなり、溶けるようにして
消えてしまう不思議なキノコである。



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