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第72回「ヒガンバナ」2004年9月23日

「暑さ寒さも彼岸まで」
その言葉通り、秋の彼岸を迎え涼しくなりました。



丁度その彼岸の前後に咲くので
正式な和名が「ヒガンバナ」。

古くは、マンジュシャゲ(曼珠沙華)
梵語で(赤い花の意)

また、俗に葬式花、死人花などとも呼ばれ
縁起のよくない花と、敬遠され、
摘まれたり、飾られる事が少ない。

田んぼの土手、畦、墓地、小川の縁など、
やや湿り気のあるところに自生する。

花はご覧のように燃えるような赤で、
しかも群生するので華やかである。

花の茎のみ、30センチくらい伸び
先端に輪状に花をつける。

葉が全く見当たりませんが、葉は花が終わって、
本格的な秋になってから出てくる。

同じ仲間に、「キツネノカミソリ」という種がある。
花の数は少なく色も橙色に近く穏やかである。
そしてこちらは葉が先に出て、その葉が
枯れてから花茎が出てきて花が咲く。

いずれにしても、
花と葉が同一時期に生えてこない。
これは何となく寂しいというか
間が抜けた感じである

馴染みのスイセンも「ヒガンバナ科」に属するが、
葉と花は同時である。
やはり鑑賞側にとっては、
「花」と「葉」は、同時にあったほうが好ましい。

花に、勝手な注文をつけてもどうにもなるものでない。

ヒガンバナの俳句は無いかと
手元にある、中村汀女さん、
ご本人から直接f戴いた「花句集」をみると
ヒガンバナの句は12句あったが、
「彼岸花」と詠んだ句は1句のみ

投網首にかけて人来る彼岸花」(中村汀女)

あとは全て「曼珠沙華」が使われている。
おそらく字面が「曼珠沙華」
の方がお好みであったか、
読んだ時の音の響き「・・・・バナ」が
美しくなく、好まれなかったのか、

「曼珠沙華抱くほどとれど母恋し」(汀女)

「父若く我いとけなく曼珠沙華」(汀女)

「あち向いてどの子も帰る曼珠沙華」(汀女)

汀女さんの句を味わいながら、
それぞれの故郷を思い浮かべてみてください



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