第75回「入笠小屋・キノコ祭り」
2004年10月4日
毎年10月の第一週土曜日は 「入笠小屋のキノコ祭り」と決まっている。 祭りと言っても特別、催し物があるわけではない。 ただ豪快な大鍋で秋の味覚の代表 「キノコ」と一緒に煮込んだ野菜、肉などを たっぷりと、味合う趣向である。 先ずは豪快な、大鍋をご覧下さい。 直径は1メ-トルを悠に超える。 |
ワイン、ビ-ル、日本酒など、 それぞれ好みの飲み物でキノコ鍋を戴き、 締めくくりは、「蕎麦」 信州は蕎麦どころであるから、全般に「蕎麦」の レベルは高く、最近は美味しい店も数多あるが ここ、入笠小屋の「蕎麦」は絶品。 しかし味よりもエピソ-ドが絶品。 もう20年くらい前のこと、いつもの如く小屋へきて 夜飲みながら話をしていると彼が 「よく行く諏訪の蕎麦屋・・・・爺さんが死んじゃってさ・・・・ ばあさん一人じゃ、できねえ」てんで 「捏ね鉢から蒸篭まで全部、買ってきちゃったよ・・・・ ついでに婆も・・・」 小屋の主人は東京京橋の生まれ、 ちゃきちゃきの江戸っ子、 しかも職人の家の育ちだから、 だいたいこんな調子でしゃべる。 「ついでに、ババアも・・・・」には、 笑ってしまったが、 このあたりは、下町気質の彼のテレである。 彼はこの小屋を手に入れ、始めたのが20歳前後、 冬中殆ど客もなく唯一人、何ヶ月も雪に閉ざされた 暮らしをしていた頃の「孤独感」など、 よく話してくれた。 そんな彼だから連れ合いを失ったババアの寂しさを、 普通の人以上に察する事ができる、 心優しい男である。 しかし、その優しさを絶対に見せない男でもある、 だから 「ついでに婆も・・・・」 という話になる。 その年も、翌年も、小屋の調理場で手伝っている 蕎麦屋のおばさんの姿があった。 2~3年後には元気になって、小さな店を復活したと、 彼から聞いたが、 今はそれから更に15年以上も経っている。 |
この蒸篭、蕎麦猪口で蕎麦を戴く時必ず 「ついでに婆も・・・・」を思い出して一人楽しんでいたが 取って置きのエピソ-ドを披露する事にした次第。 |
(戻る)
(EOF)