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しぜんのくに ありとちょう


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*かいせつ*

 子どもたちが好きな昆虫の中でも「あり」は、より身近で、興味ある対象に
なっていると思われます。しかし、反面「あり」が、どんな生活をしている
のか、ということになると意外に知られていないようです。

 ひとくちに「あり」といっても、実は、大変多くの種類がいて、さまざまな
生活をしています。たとえば、この話のアリは「くろおおあり」といって、
日本産のアリの中では、大型で、庭さきなどで、ふつうにみかけることの
できる種類で、みなさんも、ふだん、よく見ておられる種類のアリです。
しかし、このアリには、このお話のように、おもしろい習性があるのです。

 サムライアリという種類があります。これも庭さきなどで、ふつうに見られ
ます。この種類も、おもしろい習性をもっています。というのは、クロヤマアリ
(これも、ふつうに見られる種) の巣をおそい、サナギを略奪し、成虫にな
ると、それらを奴隸として使うという奇習です。

 このように、一見なんの変てつもないアリたちにも、とてもおもしろい
生活がかくされてぃるのです。

 私たちのまわりには、ざっとみるだけでも、10種余のアリがいます。
そしてそれぞれに、興味ある生活をしています。

 この絵本のねらいは、そのアリの生活の一部を紹介して、アリに対する興味
をより深く、あるいは、今までとは別の角度から観察していただきたいという
ことにあるわけです。子どもたちには、むずかしい観察や実験はできませんが
たとえば、庭さきに、いろいろなエサをまいて「どんなエサに、どんなアリが
集まるか?」などの実験をしてみるだけでも、子どもたちのアリに対する
興味を深めることができるのではないかと思います。

 最後に、この絵本のお話について、多少説明をしておきましょう。

 アリは、アリマキから蜜を提供してもらうのでアリマキを守ります。それと
同じように、この絵本にでてくるチョウは、クロシジミといって、このクロシ
ジミの幼虫にも蜜腺があって蜜を提供してくれるので、アリは、このクロシジ
ミの幼虫をたいせつにするわけです。このほかにも、アリと関連をもつチョウ
がいることもわかっています。このような関係を「共生」といっています。

 このような事実を童話風にしたねらいは、このような事実を単に、知識とし
て子どもたちに与えたのでは、なんの発展も期待できないからです。今後も、
このような形式で昆虫の絵本をかいていくつもりです。


はたえあつし/さく・え

ありとちょう しぜんのくに 8
第2巻 第5号
昭和45年8月1日 発行
定価120円 送料75円
発行人 鈴木繁
発行所 鈴木出版株式会社 C1970
印刷所 共同印刷株式会社


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